陸上競技の花形とも言われる100m走。最もシンプルな競技ですが最も繊細な競技でもあり、競技人口としても最も多く、非常に人気の高い種目と言えるでしょう。
今回はそんあ100m走について、私自身が実際に大学時代まで本格的に競技に挑んでいた経験などを踏まえて練習方法やタイムを伸ばすコツなどを紹介できればと思います。まだ陸上競技を始めたばかりという人はもちろん、長年陸上競技を行っているが伸び悩んでしまっている人にも何かしら役に立つ項目があると思いますので是非参考にしていただければと思います。
100m走について
まず初めに100m走についての理解という所からお伝えできればと思います。2023年現在、世界規模で陸上競技界の100mという視点で見ると圧倒的な実力者というのは世界記録保持者のウサイン・ボルト選手以来出てきていないというのが正直なところです。というよりはウサイン・ボルト選手のインパクトが強すぎて目に留まる選手が居ないというのも正直なところです。
そしてここ数年では日本の100mのレベルは急激に上昇しており、2017年に桐生選手が日本人初となる9秒台を突破すると、次々に9秒台の選手が現れ、現在の日本では4名の選手が10秒の壁を破り、日本記録は山縣選手の9秒95という所まで来ました。
また、2023年のブダペスト世界陸上ではサニブラウン選手が6位に入賞するなど、今までは100mの個人で世界と戦うには少し壁がありましたがここ最近の日本人の活躍が素晴らしい競技となっています。
その日本人選手の中でも下記の3名の選手を例にレース展開や走り方を解説していきたいと思います。
・坂井隆一郎 選手(2023日本選手権優勝)
・柳田大輝 選手(2023アジア選手権優勝)
100m走のレース展開と走り方
まず初めに100mのレース展開について紹介していきます。簡単にまとめると100mのレースというのは「スタート・加速」「中間走」「フィニッシュ」に分けられると考えています。
スタート・加速
100mの命でもあるスタートですが、現在の日本人選手の中では坂井隆一郎選手が一つ頭が抜けており、そのスタートはカミソリスタートとも呼ばれ、一気に加速段階まで足を運ぶのが特徴的です。基本的にスタート直後は低い姿勢をキープし、中盤に向けて少しずつ顔を挙げて加速する事によって無駄な抵抗を抑えつつスピードを上げていきます。
中間走
続いて中盤の走り方ですが、こちらは2023年のアジア選手権を制した柳田大輝 選手が最も得意だと個人的には感じます。スタートでうまく加速に乗ったら、顔を上げてトップスピードまで一気に駆け上がります。
個人差はありますが、大体トップスピードに到達するのが50m地点前後と言われており、ウサイン・ボルト選手は時速44kmを超えるスピードまで上がるそうです。いかにここの区間のスピードを最後までキープできるかがとても重要となってきます。柳田選手のアジア選手権の走り方を見ると、膝が上手く上がって腕の振りもスタート直後と比べると非常に大きくリラックスした走りとなっていることがわかります。
その為膝を上げてストライドを伸ばすことにより、自然と腕の振りも付いてくると思いますので競り合って硬くなってしまわないよう、大きな動きを心がけると良いでしょう。
フィニッシュ
最後は70m〜100mのフィニッシュラインまでの走りとなりますが、こちらはサニブラウン選手が非常に得意としており、後半が得意な選手は中間走のトップスピードを維持する能力が高いという選手になります。先ほど紹介したストライドを大きくして膝を上げるという走り方を身につければ自然とトップスピードをあまり落とさずにゴールまで走り抜ける事が出来ます。
100mの後半が強い選手は、200mにおいても良いレース展開をできる選手が多いので、100mだけを意識するのではなく少し長い距離を意識した練習などを行うとより強化することが出来ます。
100mの練習メニュー例
シーズン中
・150m×3本、100m×3本 レスト各次の距離ウォーク
・(150m+120m+100m+80m+60m)×3set レスト10分
・(100m+100m+100m+100m)×3set 1本目〜4本目にかけて徐々にタイムを上げていく
上記のメニューはシーズン中の一例です。
量よりも質にこだわっているメニューなのでレスト時間も長めにとって本数も少なめにしてあります。
なので1セット終わるごとに自分の限界まで力を使いきれていなければあまり効果のないメニューとなってしまいますのでご注意ください。
オフシーズン(冬季練習)
・(200m+180m+150m+120m+100m)×3set レスト8分 間次の距離ウォーク
・300m×5 レスト10分
・(300m+200m+100m)×3 レスト10分 間次の距離ウォーク
こちらも一例を挙げさせていただきました。
冬季練習だとシーズン中になかったような300mなど長い距離を入れることもオススメです。
長い距離を入れる事によって後半の失速を抑えられたりという効果があるので週に1度は長めの距離を取り入れると良いでしょう。
また、冬季練習について細かく述べている記事もございますのでこちらを参考にしてみてください。
100m走で勝つためにサプリメントやプロテインを有効活用しよう
短距離走で最も重要ともいわれる瞬発力の能力を上げるためには脚の筋力が必要となってきます。その脚力を増加させるためにサプリメントやプロテインなどを利用すると脚力増加の手助けをしてくれますのでタイムをより伸ばしたい方は適量摂取することをお勧めしております。
まずは瞬発力を爆発的に上げてくれるクレアチンというサプリメント。クレアチンを使うことによって瞬発力をあげることができるので合わせている大事な試合がある場合がぜひ飲んでみるといいでしょう。
大事な試合を控えている短距離選手にとっては必需品となる方もいらっしゃるでしょう。
詳しくまとめた記事もございますのでぜひご参照ください。
続いて継続的に筋力アップと維持をしてくれるプロテインについてです。
こちらもクレアチン同様に瞬発力に特化したものも販売されており、今回おすすめさせていただきたいのがSAVASの「タイプ1ストレングス ホエイプロテイン」です。
こちらのプロテインはパッケージにも記載されている通り瞬発力を必要としたアスリートを手助けしてくれるものとなっており、おすすめに陸上競技の短距離走とも記載されているのでどのプロテインを飲んでいいかわからないという方はこちらのプロテインから飲み始めてみるのがいいかと思います!
アマゾンのリンクを貼っておきましたのでプロテインの購入を考えている方は是非ご覧ください。
100m走において初心者や中学生、高校生から多くある質問
続いては陸上競技の100mを中心に取り組んでいる人から多く寄せられる質問についてよくあるものをご紹介させていただきます。
Q.どんなスパイクを履いたら良いのでしょうか?(ピンの長さ等)
A.個人的な意見になってしまいますが、自分の普段履いているスニーカーなどより0.5cm小さいものを選び、足にぴったしはまっている方が密着感があって走りやすいと思います。
また、100mで、あれば9mmの三段ピンを使用するのが良いかと思われます。
しかし筋力に自信のない方や走りにくいと感じた方、また400mも兼任している方などは8mmのものにするなどでも良いです。
上記アマゾンのリンクを張っておきましたのでピンを新たに購入したい方や今お使いのピンが古くなってしまっているという方は是非ご利用ください。
スパイクのピンについてはこちらでも詳しくご説明していますのでどの長さが最適かを知りたいという方は是非ご覧ください。
短距離選手にとってスパイクのピンはとても重要なメンテポイントとなりますので細かく確認しておくっことが需要です。
Q.どのような練習が一番効果的ですか?
A.こちらも個人的な意見が多めになってしまいますが、100mであれば筋力が多くあった方が有利です。
ダイエットなどをして体重を軽くして。と考える人も多いと思いますが、実際には筋力をつけて体重を重くした方が地面を踏み切る力が強くなるので早く走れる傾向にあります。
ウエイトトレーニングの方法なども年代別にご紹介していますので参考にしていただければと思います。
Q.追い風や向かい風はどのくらい影響しますか?
A.こちらは実際の環境等もあると思いますが、はっきりとした数字は出ておりません。
しかし中高生など部活で競技をしているくらいであればそこまで難しく考えなくても良いかと思います。
だいたいですが、+2.0mであった場合0.0mの時に対して-0.2秒程度と考えてもらえれば良いです。
逆に-2.0mの時は0.0mの時に対して+0.2秒くらいの認識です。
例0.0mで11″43の人の場合
+2.0m=11″23
-2.0m=11″63
この程度に覚えていただければ妥当かと思いますが実際にはタイムや環境によって変化がありますので大体の数値として認識していただければと思います。
100m走で伸び悩んでしまった時の練習方
なかなかタイムが思うように伸びず、行き詰まってしまった。などという場合は、ざっくりとメニューを変更してみるということも良いです。
このような時には一定期間ウエイトトレーニングで普段鍛えない部分のトレーニングを行って見たりすると直ぐに成果は現れませんが徐々に乗り悩みが解消される事があります。
また、体幹トレーニングで体の軸を安定させ、ブレをなくすことでスムーズに足を運ばせることができるので是非気になった方は参考にしてみて下さい。
100m走のここだけは押さえておきたいポイント
そして試合が近い人に必ず目を通してもらいたいのがこちらのウォーミングアップの方法
実際に行ってみて効果があったと思うものを取り上げていますので試合前のみならず普段の練習の際にも活用できるものです。
100mの日本記録の移り変わり
余談ではありますが、2017年に日本人初の9秒台が出たことで話題になっていますが、こちらに今までの過去50年間の日本記録が更新された年や当時のタイムなどをまとめてみましたので興味のある方はぜひご覧ください!
短距離走100mの練習メニューやトレーニング法まとめ
以上100mについてご紹介させていただきました。100mで急に話題沸騰になっている多田選手ですが、高校時代は2014年の山梨インターハイで100m6位との成績が残っています。
高校時代に同年代や下の学年の選手に勝てなかったなどあまり目立っていない選手でも伸び次第でここまでくることができるのはこの競技の面白いところです!
また更新事項等があれば随時更新させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。みなさんの疑問点を少しでも解決できたらとも思います。少しでも参考にしていただければと思います。