短距離種目を行っている方であれば1度は必ず練習メニューとして行ったことがあるであろう300mという距離の練習について今回はお話しさせていただこうと思います。
通常300mという距離の大会は公式戦では存在せず、地方の記録会や特別な大会などでごくまれに存在するような種目ではありますが練習としてはほとんどのチームが取り入れている距離でもあります。
そんな300mですが400mを専門にしている人ならまだしも100mや200mを専門にしている人から見れば300mという距離の練習メニューを聞いただけでも拒否反応を起こしてしまう方も多いはずです。
しかしこの300mという距離の練習はショートスプリントの選手(100m、200mを専門の選手)にとってもロングスプリントの選手(400mを専門の選手)にとっても大きな効果がある練習メニューとなっています。
そんな短距離選手の練習に必要不可欠な300m走について詳しく見ていきましょう。
ショートスプリント選手における300m走のメリット
まずは100m、200mを専門に行う選手にとってのメリットですが、試合よりも長い距離を走ることによって後半の失速を抑えるという点において効果があります。実際に200mなどでは後半の100mは前半の100mに比べてかなり失速してしまうものです。
しかし練習から300mという距離に慣れておくことで後半の走りも安定してそれほどブレずに走りきることが可能になるのです。
ショートスプリントの選手にとって300mはあまり意味のない練習と思われがちですが距離に慣れるという点や後半の失速を抑えるといった直接タイムや成績にかかわってくるので重要な練習といえるでしょう。主にショートスプリントの選手が300mの練習を行うのであればレペテーショントレーニングを行うのが望ましいと思います。
レペテーショントレーニングは1本1本全力で走るトレーニングで、セット間隔も15分程度の完全回復で行います。なので1本ごとに全力で100%の力を出し切る形で走り切ることを目的としたトレーニングになります。余力を残した状態で走りきるような形だとあまり効果のない練習になってしまうので注意が必要です。
100m、200mについて詳しく述べている記事もございますので気になる方はご覧ください。
ロングスプリント選手における300m走のメリット
続いては400mを専門に行う選手にとって練習で300mを走ることのメリットです。ショートスプリントの選手であれば通常よりも長い距離を走るので距離に慣れたり、後半の失速を抑えたりというメリットがありましたが400mの選手の場合は少し違ってきます。
通常の試合よりも短い距離の300mになるので距離への慣れや失速を防ぐというよりスピードを意識した練習となってきます。300mという距離であれば通常400mで走るスピードよりも速いスピードで走りきることになるので前半から突っ込んで早い段階でスピードに乗れるような形を意識して練習に励むといいでしょう。
300mの練習に慣れれば通常の400mの試合でもスピードに乗ったレース展開ができるのでタイムも期待できるようになるかと思います。ロングスプリントの選手の場合300mの練習を行う際レペテーショントレーニングに加えて(300m+300m)などのメニューを行ってみてもいいでしょう。
「+」のレスト部分は間隔100mウォークくらいがちょうど良いと思われます。
400mについて詳しく述べている記事はこちらをご覧ください。
中・長距離選手における300m走のメリット
短距離選手以外でも300mの距離を走るのにはとても効果があります。実際に中長距離の選手でもラスト1周勝負や最後の直線勝負となったときにやはり重要なのがスピードとなります。
そこで中長距離選手の場合はラスト勝負を意識した形で300mの練習をするといいでしょう。なので300mの練習をメインにするというよりはそれぞれのメニューが終わった後に最後に300mを1~2本入れるといった形がベストかと思われます。最後のセリでいつも負けてしまうという方はぜひ取り組んでみてください。
300m走の走り方やペースについて
続いては300mという距離を走るにあたってどのくらいのペースで走るのが最も効果的なのかをご紹介させていただこうと思います。
単純にペース配分と言ってもシーズン中の「レぺテーショントレーニング」での練習なのか、あるいは冬季練習中の「走り込み練習」においてのペース配分なのかによって大きく変わってくるので練習法のペースによって注目していきましょう。
レぺテーショントレーニングでの300mのペース配分
まずはシーズン中に多く行われるレぺテーショントレーニングでのペース配分についてご紹介させていただきます。レぺテーショントレーニングというと1本ずつ全力を出し切って次に走るまでのレスト時間を長くとるスピード系の練習法となります。
こちらの練習の際は1本1本が全力である為最初からほとんど全力で問題ないのですが、ロングスプリントが苦手という方は後半かなり失速してしまいがちです。その場合には序盤少しペースを抑えてゴール地点で全力が出し切れていればOKです。
練習メニューの例としては
300m×3本(レスト時間15分毎)などが挙げられます。
走り込み練習においての300mのペース配分
走り込みの練習の場合は主に冬季練習や、追い込み練習の際に行われることが多く、レぺテーショントレーニングのように全力で1本1本走るという事はしません。ただペースを遅くする分本数が多くなり、レストも短くなり肺を鍛えるような練習方法となります。
単発の練習ではなくなるため300mを8割程度の力で走って100m歩いてまた300mを走るなどレスト時間が極端に短くなります。
練習例としては
などと本数的にはかなり多くなるのでしっかりと冬季練習の間に積んでおきたいトレーニングとなります。
冬季練習を細かくまとめたものに関してはこちらをご参考ください。
300m走の練習についてのまとめ
今回は300mという距離の練習についてどのような効果があるのか解説させていただきました。練習メニューに300mというメニューが多いのはしっかりとその選手にあった目的がありとても効果的な練習メニューの為多くのチームが取り入れているのです。
また、短距離選手のみならず中長距離選手にもしっかりと効果のある練習なので取り組んでみるといいでしょう。