今回は主に短距離種目における筋トレ、そしてウエイトトレーニングの方法を中学生・高校生を中心にご紹介させていただきます。ウエイトトレーニングと言えば「重いものを持ち上げて筋力をつける」という認識を持っている方が多く、いわゆる筋トレの大分類という意識の方が多いと思います。
ただ、軽いものを数多く挙げることや素早い動作をすることによって付く筋肉の種類が違ったりしますので現在短距離を行っていて実際どんなウエイトトレーニングを行ったら正のかイマイチよくわからない…といった中学生や高校生にも参考にしていただければと思います。
では実際に陸上短距離選手が行うべき筋トレについて詳しく見ていきましょう。
陸上短距離選手における年代別の筋トレ方法について
まず初めに中学生、高校生、大学生など年代によって行っていくべき筋トレについてご紹介させていただきます。単純に筋トレといっても体の発達によって行うべき筋トレとまだ行わない方が良い筋トレ・ウエイトトレーニングなど種類によって段階が異なってきますのでそれぞれに合った筋力トレーニング方法をご紹介していきますので参考にしてみてください。
中学生における筋トレ・ウエイトトレーニング
まず中学生の時期においての筋トレ・ウエイトトレーニングについてですが、中学生の時期ですとほとんどやらないという学校や指導者が多いです。これは中学生という成長が著しい時期に筋力トレーニングばかりしてしまうと体が早い段階で完成されてしまい、大人になってから短距離種目を続けていくにあたって記録が伸びにくくなってしまうという事が考えられるからです。
例えばですが全中チャンピオンなど中学時代において著しい活躍を残した選手で、体格も大学生の選手と変わらないような選手もいます。その当時は中学生の中でトップかもしれませんが競技を続けて行く上でどんどん追い抜かされてしまうというのが現実です。
逆に中学生の頃あまり目立たず全中に出場するも予選落ちくらいの選手の方が大学生くらいになるとグングンと伸びて来るのです。なので中学生はウエイトトレーニングや筋トレなどしなくても身長や体重が勝手に増え、普通に何も考えず練習していればタイムは速くなるのです。
あまり筋トレを意識しすぎて練習してしまうとこの先行き詰まってしまうこともあるので、中学生のうちは筋トレなどを意識せずに楽しく練習に取り組んでタイムを伸ばして行った方が確実に今後に繋がると思いますよ!
2021年日本選手権100mで優勝した多田選手も中学生時代は大阪府大会止まりで近畿大会にすら出場していなかったそうです。他には400mで日本選手権11連覇した金丸選手も中学生時代は200mで全中に出場するも予選落ちという結果でした。
なので中学生の選手は正直筋トレやウエイトトレーニングをして速くなりたいという気持ちはわかりますが、ここはグッと我慢して高校生以降から徐々に初めていった方が長い目で見ると良いです。
高校生における筋トレ・ウエイトトレーニング
先ほど中学生ではあまりウエイトトレーニングをしない方が良いとご紹介させていただきましたが、高校生あたりから徐々に筋トレを初めても良いと思います。
なぜかというとほとんどの人が高校生の中盤あたりになると身長があまり伸びなくなり、そのままの身長で大人になっていき、成長が止まるのでそこからは筋力をつけてパワーアップして行くというフェーズになります。
高校生の時期に短距離種目で主に行うと良いウエイトトレーニングは足をメインに鍛えると良いでしょう。上半身のトレーニングを行っても問題ありませんが、体が完成されてきた大学生以降に筋トレを行うと良いです。
大学生以降の筋トレ・ウエイトトレーニング
この歳になると、体の成長というものはほとんど止まってしまうのでウエイトトレーニングを自ら行う事で筋力を増やしていく方法が正しいです。高校生のうちは筋トレをやりすぎてはいけないと説明させていただきましたが大学生になれば正直やりすぎに越した分はないと個人的には思います。
(あくまでも個人的な意見になりますので個人差はあると思います。)
そして高校生の時にはあまり取り組まなかった上半身のトレーニングもどんどん取り組んで大丈夫です。上半身を鍛えることによって腕の振りがスムーズになり、足の運びがとても楽になるのです。
必要な部分のウエイトトレーニングを行って見てください!
短距離の種目別筋トレ・ウエイトトレーニング
短距離種目において自分の種目をさらに詳しく見たいという方は下記に解説ページを作成していますのでぜひ参考にしてみてください!
100m走に向けた筋トレ・ウエイトトレーニング
100m走で最も大事なのはやっぱりスタートになります。そこでスタートをうまく踏み切る為にも脚力を強化して俊敏なスタートを切ることが自己ベストへのカギとなるでしょう。主にスクワット等の大腿四頭筋のウエイトトレーニングに重点を置くとスタートにおいては問題ないでしょう。
200m走に向けた筋トレ・ウエイトトレーニング
200m走でよりいいタイムを出すにはカーブでの走りがそのまま直結して記録に影響してくると言われています。カーブをいかにスムーズに走り抜けるウエイトトレーニングは100mの脚力に加えて腕を大きく振る為の腕力も必要となってくるのでハイクリーンなどの大きな動作の物も入れてみてはいかがでしょうか。
400m走に向けた筋トレ・ウエイトトレーニング
400m走では後半いかに体力を残しつつ前半スピードにどれだけ乗れるかという短距離種目の中で最も難しい種目とも言われています。そんな400mで効果のあるウエイトトレーニングといえばショートスプリントで説明したスクワット、そしてハムストリングを鍛えるレッグカールなどが中心となってきます。それから後半走りを安定させるための体幹も重要です。
陸上短距離走における基礎から応用まで全般的に解説しているページもご用意させていただきましたので気になる方はこちらから参考にしてみてはいかがでしょうか。普段あまり行っていないようなトレーニング方法まで詳しく解説させていただいています。
ウエイトトレーニングの重要種目と方法
ウエイトトレーニングと言っても数え切れないほどの種類や鍛え方があります。その中でも私の経験上特に重要だと思った筋トレ種目をいくつかご紹介していこうと思います。
・レッグカール
・レッグプレス
・ベンチプレス
こちらの4つがメインとなりますのでそれぞれ使い方やメリットをお伝えします。
スクワット
こちらは自重で行う分にはみなさん1度はやったことあると思うのですが、バーベルを担いで行うとなるとしっかりした器具などが必要となってきます。そしてやり方を間違えると腰を痛めてしまったりするため慎重に行いましょう。
やり方と方法ですが、スクワット台に乗ったバーベルを担ぎ、そのまましゃがんで立ち上がるだけなのですが、この時に注意したいのが姿勢です。
背中を曲げたまま行ってしまうと腰にものすごく負担がかかってしまいます。
しっかりと背筋を伸ばしてお尻を突き出すようにし、地面とバーベルが平行になるようにゆっくり下ろします。
スクワットにも完全にお尻を足につけるフルスクワットや、半分だけ膝を曲げるハーフスクワットなどがあります。
フルスクワットはスタートから飛び出す力を鍛える事ができ、ハーフスクワットは中間疾走の部分を鍛える事ができるので今自分が必要な方を重点的に行うと良いでしょう。
まずは自分の体重くらいの重さにセットし、腰に負担をかけないように数回行います。慣れていくうちにどのくらいの重さで何回くらいできるかが分かってきますので、目安として10回できる重さをで10回を3セットくらい行うと良いでしょう。
この時に本来であれば15回できる重さなのに10回でセットを終わらせてしまうとあまり効果がなく無駄になってしまいますので、しっかりと10回が限界くらいの重さのものを選ぶようにしましょう。
また、セット間のレスト時間はセットごとにしっかりと追い込めてると感じた場合は10分くらいとっても良いです。
レッグカール
こちらは太ももの裏の部分にある筋肉、ハムストリングスを鍛えることのできる種目となっています。ハムストリングスは短距離選手にとって最も重要な筋肉で、ここの筋肉がしっかりしていないと速く走ることができません。
また、太ももの前の筋肉が発達しているのにこのハムストリングスが弱いと全力疾走した際に肉離れを起こしてしまいます。そうならないためにも重点的に鍛えておきたい部分になります。
レッグカールの主な使い方は、うつ伏せ状態になり、かかとを上に持ち上げるように膝を曲げます。この際に器具の重りをどのくらいの重さにするかが重要となってきます。
個人的には連続で15回ほどできる重さにセットし、左右3セットずつ行うと良いと思います。しっかりと追い込めていれば翌日筋肉痛で太ももの裏がパンパンに張ってくると思いますのでそのような現象が起これば完璧です!
レッグプレス
こちらは固定された椅子に重りがついたプレートを足で押し上げるような動作をするトレーニングとなります。こちらのレッグプレスですが、スクワットと同じような部分を鍛えることになると思いますがしっかりと地面をける感覚で重りを動かすことができるので走る際に必要な筋肉を重点的に鍛えることができるのです。
短距離選手のみならず、踏ん張りが必要とされている投擲選手などもかなり重要視しているトレーニングになりますので脚全体のパワーアップに向いている種目となります。こちらも10回〜15回ほどで限界が来る重さを3セット行います。
余力を残して終わってしまうともったいないので必ず限界まで追い込んでからレストに入るようにしましょう。
ベンチプレス
最後にこちらの種目ですが、筋トレ、ウエイトトレーニングの定番!一見短距離選手にあまり必要ないように思えますが実はかなり重要なのです。ベンチプレスといえば上半身の筋肉を鍛える代表的な種目ではありますが、実は腹筋や背筋まで同時に鍛えてくれるという優れものなのです。
実際にメインとなるのは大胸筋のトレーニングですが、ここを鍛えることによって腕の振りがスムーズになり大きな走りができるようになるのです。個人的にベンチプレスを限界まで追い込んだ後に120mの流しを2、3本行うだけで正直タイムが上がると思っているくらいです。(実際にそれで自己ベストを更新し、100mを10秒台で走ることに成功いたしました。)
そんなベンチプレスですが、やり方としてまず左右均等になるように持ち上げ、胸につけてからまた上へ挙げる。これで1回になります。よく胸につけず何回も上げたり下げたりしている人がいますが、これではあまり意味がありません。
胸のところまで下げることによって肩甲骨の可動域が広がり、腕振りに必要な筋肉をより鍛えることができるのです。
この方法で正確に10回持ち上げられる重さを見つけてみましょう。ベンチプレスは限界まで追い込み、バーベルをあげられなくなるまでできるのが醍醐味です。しかし危ないので必ずセーフティーバーを使うか、2人以上で行ってください。
10回で限界の重さを見つけたら、あとはその重さで何セットもひたすら繰り返していきます。そうするとセットを重ねるごとに9回、8回と数をこなせる回数が減っていってしまうと思います。
そうしたら重さを5キロ単位で減らして行き、また10回できる重さで何セットも追い込んでいきましょう。この際レストは10分ほど取ると丁度回復できると思うので試してみてください!
以上4種目の説明をさせていただきましたがこちらの4種目を週に2回ほど取り入れることができれば理想的です。
また、陸上短距離選手がベンチプレスを極めてみた体験談も書いてみましたので興味のある方は是非読んでみてください。
陸上短距離選手の筋トレ&ウエイトトレーニングまとめ
ウエイトトレーニングは自分をいかに限界まで追い込むことができるかということが重要になります。また、今回は短距離選手の為のウエイトトレーニングの紹介でしたが
【中・長距離選手の為のウエイトトレーニング】の方では別のトレーニング法もご紹介していますので併用されている方やきになる方は是非ご覧になってください!
また、こちらのページをご覧の方に参考になりそうなページをいくつかピックアップしてみましたので合わせてご覧ください。
・「陸上競技【スタート】のコツや練習・姿勢などを分かりやすく解説」
少しでも参考にしていただければと思います!