シーズンも終わり冬に差し掛かってくると誰もが必ず通る冬季練習のシーズンとなります。そこで今回は短距離選手における必ず行った方が良い冬季練習のメニューについて解説していこうと思います。
冬季期間というと「試合も全くないしただひたすら辛くて過酷な練習をするだけであまり面白くない・・・」と感じてしまい、どうしてもやる気が起きないという方も多いかと思います。
ですが春先に自己ベストを出したり目標達成のためには妥協せずどれだけ自分を追い込めるかでライバルとの差や自分の記録がどのくらい伸びていくかが分かれる重要なの期間となります。
では陸上短距離の冬季練習について詳しく見ていきましょう。
冬季練習を行うにあたって
陸上のトラック種目におけるシーズンはおよそ4月〜10月と言われており、11月〜3月までは冬季練習期間となります。この5ヶ月間の冬季練習期間の追い込みによって次のシーズンどのようなパフォーマンスができるかが決まってくるといっても過言ではないほど重要な期間となります。
では具体的にどのような練習メニューを行ったら最も効果的になるのかを解説していこうと思います。
走りこみ練習
こちらの練習は短距離選手であればシーズン中にも行う場合があると思いますが、冬季練習の場合ペースを落として本数を増やしたり、距離を長くしたりとシーズン中の練習よりも本数や距離が増えてかなりきついメニューを行います。
実際に私は400mを専門として大学で練習していた時には500mなどの長い距離を走るメニューを行い400mと言う距離に恐怖感をなくすための練習を数多く行っていました。
そして300mなどの距離を行う際もシーズン中より3秒ほどタイムを落として走る代わりにレスト時間を短くして本数も増やして練習していました。なぜ冬季練習でこのようなメニューが多いのかというと1つは肺を強化するという目的です。
短距離選手でも肺活量が増えることによって走れる距離が長くなったり、実際に試合の時1日3本予選、準決勝、決勝と走らなければならないのでしっかりと後先考えた練習としてこの走りこみ練習を行うとより効果的です。
もう1つは冬に100%の力で走ってしまうとどうしても気温が低いので怪我が起こりやすくなってしまいます。
素早い動作でスピードが命の短距離選手にとって冬季練習とはかなり難しく深いものなのですが気温の低い日は決して無理をせず肺を鍛える目的で多くの本数を走る練習をしてみてください。
ウエイトトレーニング
実際に冬季練習であまりメニューに取り入れない方も多いと思いますがこのウエイトトレーニングがポイントとなります。
女子の選手であればそこまで意識して筋肉をつけたという選手はいませんが、男子の選手の場合2017年に日本人初の9秒台をマークした陸上短距離界のエース桐生祥秀選手も冬季練習のウエイトトレーニングで体のブレが安定したと会見で述べていました。
そしてリオオリンピックの4×100mリレーで銀メダルを獲得した際にアンカーを務めたケンブリッジ飛鳥選手もジャマイカへ修行へ行った際に「体つきができていない、体が小さい」と言われたのがきっかけで練習メニューにウエイトトレーニングを始めたところ一気に記録が伸びたようです。
実際にウエイトトレーニングと言ってもたくさんありますのでどのようなメニューを主に行えばいいのかわからないという人も多いため以前ウエイトトレーニングについて専門的に書かせていただいた記事がございますのでこちらを参照頂ければと思います。
体幹トレーニング
こちらの体幹トレーニングですが、冬季練習を終えて春先に走りを安定させる意味では最も重要なトレーニング方法の1つになります。
短距離種目でも400mなど距離が長い種目だと後半100mに必ずと言っていいほどほとんどの選手はフォームが崩れてしまいあごが上がってしまったりと本来の走りができずにゴールを迎える形になっています。
そこで体幹トレーニングを取り入れることで春先の試合で走った際に体の軸が安定し全くぶれずに走りきることが可能となります。
実際にどのような体幹トレーニングのメニューを行えば効果的なのかをこちらの記事に書かせていただいていますので是非気になった方はご覧になってみてください。
100mなどの短い距離でも体が安定しているとスピードに乗るのがスムーズになり無駄な動作がなくなるためそのスピードを維持しやすくなるという利点も出てくるので、走るだけではなく上記に書かせていただいたトレーニングを冬季練習で実施してみてはいかがでしょうか。
有酸素トレーニング
冬季練習といえば長い距離を走るというイメージを持っている人は多いかと思います。短距離選手でも長い距離を走ることによって無駄な脂肪を落とすことができたり、肺活量をあげることができたりするのでかなり効果的なメニューと言えるでしょう。
有酸素トレーニングなので少なくとも30分以上は走るようにしてみると体が温まり次の練習にもスムーズに入ることができると思いますので取り入れることをお勧めします。
しかしここで1つ注意点なのですが、有酸素運動でゆっくりと長い距離を走ると体の筋繊維の遅筋という長距離選手が主に鍛える持続力のある筋肉をトレーニングしていることになります。
ここで短距離選手の場合速筋と言う部分を鍛えなければならないため冬季練習中でも素早い動作を有酸素運動で走った後に必ず行うようにしてください。例えば100m〜120mほどの流しを3本程度行うなどのメニューを加えて有酸素運動だけでは終わらないようにするとより効果が現れやすいと感じました。
サーキットトレーニング
陸上競技の短距離種目を行っている人であれば冬季練習で必ずと言っていいほど取り入れておきたいのがこのサーキットトレーニング。上記で述べた様々なトレーニングを全て持ち合わせたようなトレーニング方法で、様々な項目のトレーニングを行い、何周かするものを指します。
シーズン中にできないトレーニングを基礎から底上げする意味でも大切で、日本代表などのトップ選手も冬季練習のメニューとして必ず取り入れている項目になります。
こちらにサーキットトレーニングの方法や効果など詳しく述べたものを用意いたしましたので気になった方はご覧ください。
種目別に押さえておきたい冬季練習のポイント
冬季練習と言っても種目ごとに練習メニューが違ってきますので、短距離の各種目ごとのポイントや、競技力向上のために押さえておきたいポイントを解説したページも作りましたのでぜひご参照下さい。
100mや200mの冬季練習のポイント
・100m走や200m走については冬季練習期間にいかに体幹など体のブレをなくして春先に走れるようになるかが重要と言われています。というのも冬季練習期間ではスピード練習を行うことがあまりできないので必然的に体作りの練習がメインとなってくるからです。春先のスピード練習に向けてウエイトトレーニングなどを行い筋力を増やすことでスムーズな足運びが可能となるはずです。
400mの冬季練習のポイント
・400m走の冬季練習としては主に走り込みがメインとなります。500mなどの長い距離の練習を積んでおくことで実際の春先の試合でラスト100mを大幅に失速することなく駆け抜けることが可能となるので冬季練習期間はとにかく距離や本数を走って体を慣れさせることが大切です。
110mHの冬季練習のポイント
・110mHにおいては冬季練習期間中にハイハードルを跳ぶのはかなり危険です。筋肉に負担がかかることなどから寒い時期に思いっきり足を上げるという事はハムストリングスへの負担や、着地した際にアキレス腱の怪我などにつながりかねないので慎重にメニューをこなしていく必要があります。冬季でもできる練習方法など多くありますので参考にしてみてください。
400mHの冬季練習のポイント
・400mHは先ほどお伝えした400mと同じように走り込みがメインとなります。違う点といえば400mHの場合入ハイハードルに比べてハードルの高さが低いのでそこまで足への負担が大きくないことが救いです。500mにハードルを追加したメニューなど行うことでより実践的なトレーニングとなるでしょう。
上記の5つの種目に関して詳しく述べているものを用意いたしました。冬季練習以外にも今まで知らなかったことや新しいトレーニング法などが見つかるかと思いますので自分の行っている種目には目を通しておくといいでしょう。
短距離選手が冬季練習で知っておくと便利なポイント
・冬は気温が低く、筋肉が固まりやすいのでしっかりストレッチで伸ばしておくことで怪我を起こりにくくします。
・シーズン中にメインとなるスタートの練習ですが、冬季練習中に少しずつ動きの動作などを取り入れておくとスムーズにシーズンインできるでしょう。
・短距離種目におけるポイントを全般的に紹介していますので冬季練習中にメニューに取り入れて身に付けておくといいでしょう。
・フォームは自分の癖になっていることが多いので長い期間が必要になります。冬季練習でフォームを直して次シーズンで結果を残しましょう。
自分似合ったレベル冬季練習で記録を向上させよう
主に陸上競技を行っている人であれば「何月までに〇〇秒台の記録を出したい!」など思って練習に励んでいる方がほとんどではないでしょうか。
大事な冬季練習の時期を終えるといよいよシーズンに入ってきますのであらかじめ参考にしていただきたい記事をいくつかご用意させていただきました!
短距離を始めたばかりの選手の多くがまず最初に目指すところといえば100mで11秒台という所を掲げる人は多いはずです。
次に11秒台前半の記録をコンスタントに出せるようになってくると100mで10秒台を出したいという記録が現実的になってきます。
陸上短距離選手の冬季練習方法についてまとめ
今回は陸上短距離選手における冬季練習について書かせていただきました。
冬季練習はどうしても辛いものだと感じてしまうことが多いと思いますが春先の記録更新のためにはこの辛い練習が必要になってきます。
また、上記にも詳しく記述しましたが、冬は太りやすいと言う体の性質上あまり食べないという女子選手に多い間違った行動などについても解説しています。
しかしそれをしてしまうとせっかく辛い練習をした疲労がなかなか取れなかったり十分な栄養が行き渡らず効果が半減してしまうなどとてももったいないので食事はきちんと摂取するようにしてみてください。
また、やってはいけない練習方もご紹介していますので合わせて確認しておいてください。
陸上短距離走における基礎から応用まで全般的に解説しているページもご用意させていただきましたので気になる方はこちらから参考にしてみてはいかがでしょうか。普段あまり行っていないようなメニューやトレーニング方法まで詳しく解説させていただいています。